宇宙の果てのガイドブック2

プライド月間だったので、

6月にオンラインイベントに向けて書いていた話を、怪物に出て来る双子の子ども時代、虹を見るふたりの話を起点に現在のドンシクさんの暮らしを描こう、と決めて書いたのです。 遠くの虹に手をのばす、というひねりのないタイトルをつけて。 その後、たまたま読んだ石垣りんの本「ユーモアの鎖国」新版に虹を書いたくだりがあって、驚いています。

「たとえば詩を見て虹を感じた、とします。詩は虹のように美しい、さて私も詩を書こう、詩は虹を書くことだ、と考えてしまう。どうもそうではないらしいのです。虹を書くのは大変です。虹を指し示している指、それがどうやら詩であるらしいということ。間違っているかもしれません。私の書く詩の向こうには鍋だの釜だのがあるばかりで、それで生活詩などと言われているのですから。 虹を見るとしても、そこに野山や空がなければならない。現実、または実際にあるものの向こうに虹は立つ――。」

石垣りん「ユーモアの鎖国 新版」立場のある詩 より

本を作るようになってからずっと、文章だけでなく、美しく凝った装丁、スタイリッシュなデザインまでも自らの手で作る人への憧れがありますが、この年になったのだから、そろそろないものねだりをやめて、虹の向こうに鍋だの釜だのがあるばかりの場所で、暮らしている場所で足に地を付けながら、片方だけ遠くに伸ばして虹を見ることが出来れば、いい話が書けるのかもしれないと思いました。